でんぱ組.inc - WWDBEST

総合評価:☆☆☆☆

可愛さ:☆☆☆
楽曲:☆☆☆☆
映像作品度:☆☆☆☆☆

秋葉原ディアステージ出身の「萌えきゅんソングを世界にお届け」をキャッチフレーズとするアイドルグループ、でんぱ組.incが12月21日に発売するベストアルバム『WWDBEST~電波良好!~』に収録される新曲のMV。

まず最初に、「WWD」とはなにかということをここでおさらいしておくと、「WWD*1」とはでんぱ組.incが2013年に発表した楽曲で(MV:【生きる場所なんてどこにもなかった】でんぱ組.inc「W.W.D」Full ver.、例えばメンバーの古川未鈴がイジメられていた過去や最上もががひきこもりであった過去などといったメンバーそれぞれが抱える負の部分を歌詞にして打ち出したことで、その当時「感動した」、「斬新」、「アイドルとしてそれはどうなんだ?」、「卑怯」などといった賛否両論になっていたのを思い出す。

結果的に、好むと好まざるとに関わらず「W.W.D」はでんぱ組.incの代表曲になり、また、「W.W.D」以前と以後とではアイドルグループが出す楽曲の在り方のようなものが急激に変わり、「アイドルでもこういう表現をしていいんだ」というムードがにわかに高まり、また時を同じくしてBABYMETALというヘヴィメタルを取り入れたアイドルが国内外で凄まじい人気を集め、BiSというとにかくアイドルの常識を覆すようなグループもまた地下では強烈な支持を得ており、少し大袈裟かもしれないが2010年代の新しいアイドルグループの形というものを切り開いた曲の内の1つと言って良いと思う。

この「WWDBEST」という曲はその「W.W.D」のみに引きつけた内容ではないと思うが、前作「最Ψ最好調!」に引き続き映像も音もダンスもなにもかもこれまでの「でんぱ組.inc」を総決算させたような内容になっている。曲は、前山田健一畑亜貴meg rockかせきさいだぁ只野菜摘、NOBE、玉屋2060%(Wienners)、浅野尚志、釣俊輔、Tom-H@ck小池雅也というこれまでのでんぱ組.incの楽曲を手掛けてきた作詞家・作曲家11名による共作ということだが、全体としてはいわゆる「でんぱ組.inc」らしい元気でポップで展開の多い楽曲になっている。

MVの方も志賀匠、スミス、田辺秀伸、鶴岡雅浩、BOZO&YGQ、山崎連基というこれまでのでんぱ組.incのMVを手掛けてきた監督による共作ということだそうで、とにかく1曲・1つのMVに対して注がれているエネルギーで言えばでんぱ組.inc史上最高の作品になっている。とにかく色んな要素が詰め込まれた感があるのでちょっとごった煮感はあるものの、見始めたら何度でも最後まで見てしまう癖になるMVではあると思う。

 

idolmvcritic.hatenablog.jp

 

*1:注)正確には「W.W.D」であり、「WORLD WIDE DEMPA(ワールドワイドデンパ)」の略